私達は、生徒達がスポーツ・エデュケーションの中で従事する役割のいくつかをより良く教える方法について、学ぶことがたくさんある。私は教員達が審判の役割を教えながら大変すばらしい仕事をしているのを見てきた。つまり彼らはチームのメンバーが戦術ドリルを行っている間、審判の役割もよく教えていたのである。５〜６年前の夏の私が行ったワークショップで、生徒達は、多様な役割の教え方について、また教える役割に固有のいくつかの与えられた宿題について、議論の準備をしてくるよう依頼された。審判やスコアの記録、マネージメントを教えることについての議論は活発に焦点化された。ところが"コーチング・スキル"を教えることについての議論は全くその逆だった。私達は教員達がどのようにしてリーダーシップの発達を彼らのスポーツ・エデュケーションのシーズンに組み入れているのかについての大変実践的な手本のいくつかを利用することができた。

　指導戦術については学ぶことがたくさんある。私は長い間、生徒達に"ゲームをプレイさせながら"快適にしていくことは、彼らがコントロールを経験し、どこに行くべきかまたは何をすべきかについて知ることができるようになるということ、そしてそのことが彼らの楽しみにとって基礎的な部分であり、またスキルの十分な発達をやり通すための自発性の最終的かつ基礎的な部分であるということを確信させられてきた。私達の専門家としての論文は長い間スキル発達の研究に関するものであった。そして戦術の発達についてはほとんどなかった。最近になって、戦術や、戦術的プレイの中で生徒達の発達をモニターする評価モデルのいくつかを明らかにするすばらしい教育学的研究が生まれてきている。そしてその両方が私達の前進のために重要である。

　生徒達がスポーツ・エデュケーションの中で学ぶことを地域社会のより広いスポーツ文化の中に結びつける"橋渡し"の役割をする活動については少ししか取り組んできていない。例えば、ニュージーランドの高校のテニスの授業では、生徒達はシーズンの最後の一日を地域のテニスクラブにフィールドトリップ（実地体験）に行き、どのような人達がそこに来ていて、金額はいくらぐらいかかるかなどについて学び、クラブの環境の中でテニスのプレイを経験している。他の高校では、男女共学のラグビー・シーズンの最後に、５〜６チームがそっくりそのまま残ることを決意し、地域のスポーツ・リーグに加わることを決めてしまった。私達は、生徒達が地域スポーツに参加することを学ぶよう、生徒達を手助けし、勇気づけし、そのような活動に簡単に参加できるようにし、−−−そして、結果として地域スポーツの現状がより良くなっていくよう、良い仕事をしなければならない。（参考；訳者はこれまで文学部・音楽学部"健康・スポーツ科学（実技�V）"のソフトテニスについてこのようなことを追求してきた-----発展途上中-----。健康生活学部カリキュラムの"生涯スポーツへの誘い�T"においてもこれに近いコンセプトで-----スポーツ文化全体を見渡した上での-----授業を提供する予定である。）

　私は、長い間、教員や生徒達が楽しみと有能さを分離させようとしていることに頭を痛めている。つまりそれらを分離するだけでなく、有能さに対して努力していくことは何とかして楽しみを除外するということも意味している。体育の中で楽しみを経験するのは、ほとんどの生徒達にとって、たいていが一時的でありふれた何かをやることを意味するようになってきた。Huizinga(1962)は彼の一流のプレイ理論において、プレイは"重要ではない"ものとされるが、"プレイヤーを激しく、完全に取り込んでしまう"と議論した。Csikszentmihalyi（1975）は、彼のフロー概念の発達の中で、行動と気づきの溶け込み、つまり、"あの独特かつダイナミックな状態−−−人々が完全に巻き込まれて行動したときに感じるホリスティックな感覚"について描写した。これは私達が生徒達に触れてもらいたい、そして、明らかに有能さを含んでいる"楽しさ"のバージョンの一つである。プレイとフローに関する研究は、プレイヤーを支えるものは（活動の）結果というより経験そのものであり、全体として巻き込まれるというこの経験が、生徒達が定期的なスポーツ参加を含めた生活習慣を発達させるための重要なキーになるだろうということを示唆している。

　私はスポーツ・エデュケーションを通した実習の重要な機会を見ている。Russ Pateとサウスカロライナ大学公衆衛生学部の仲間達によって運営されているLEAPプロジェクトは、９年生（中学３年生）の女の子達が健康的な身体活動の習慣を作り上げるという第一の目標に照準を定めた介入プログラムである。彼らはスポーツの単位にスポーツ・エデュケーションを用いているが、より重要なのは、彼らがカリキュラムの他の相にスポーツ・エデュケーションのグルーピングの特徴を維持し続けている点である（例；Cohen 教材を利用しながら小さく維持されるグループ）。各単位において、生徒達は、学校内や地域社会で女性達がどのように参加しているのか、どの程度まで彼らが社会的に無視されているのか、どうすればアクセスが改善されるかなどの調査をしながら、"実習"のチームの宿題に取り組んでいる。この種の活動は、スポーツ実践を批判的に分析する能力を持つばかりでなく、それらを変えるための何かに取り組もうとさせることによって、女の子達が教養のあるスポーツウーマンになるのを助ける。またそれに伴って、スポーツ・エデュケーションの目標が最終的にスポーツ文化に対してポジティブに影響するための首尾一貫した活動となる。（参考；訳者はここで述べられていることに加えて、健康生活学部の卒業生が指導者になった時に求められる各種能力について考察するための場を"生涯スポーツへの誘い�U"で提供していくことを予定している。）

　スポーツ・エデュケーションは私のおおよその予測を越えて流行してきた。この道のりの過程で多くの支援を得てきたことはあまり述べていない。私がこれらのプロジェクトの中で一緒に働いてきた専門家の質はひときわ優れていた。教員や教授、施策の計画者、そして部局の職員達はすべて共通して一つのものを持っていた。すなわち彼らは、体育の中で子供達や若者達により質の高いスポーツ経験を与える方法をスポーツ・エデュケーションの中に見ていたのである。彼らに感謝し、今日ここに来てくださった皆さんに感謝する。